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この記事を読むメリット
- 「がん化学療法レジメンハンドブックル」の長所と短所がわかる。
- 「がん化学療法レジメンハンドブック」と買うべきかどうかを判断できる。
- 自分の勉強にこの本が向いているか理解できる
「がん化学療法レジメンハンドブック」でできることは
- 癌種ごとの基本事項(罹患率や死亡率・危険因子・自覚症状・癌の特徴)を知る:★
- レジメン選択が適切であることを確認する:★★★
- 投与量が適切であることを確認する:★★★
- 開始基準、減量基準、休薬基準、禁忌に該当しないことろ確認する:★★★
- 副作用の評価をする。:★
- 副作用に対する支持療法を提案する:★
「がん化学療法レジメンハンドブック」で勉強した感想
「がん化学療法レジメンハンドブック」の良かった点
レジメン選択のアルゴリズムと投与量の確認に向いている。
ガイドラインほど詳しくありませんが、おおまかなフローチャートの図や表が載せてあるため、レジメン選択の順番を理解することができます。
また、術前・術後・転移再発、1次治療なのか、2次治療以降なのか、どこで使用されるレジメンであるのかを調べられます。
レジメンのスケジュールや投与量の記載があるため、治療の妥当性を検討するのにとても役に立ちます。
病棟・外来化学療法室で癌の指導をする薬剤師には必要な一冊です。
私はこの本がないと仕事に差し支えます。
全癌について学ぶことができた。
当たり前ですが、癌腫ごとにレジメンが整理されているため、索引として使用できます。
「読む」というより「調べる」使い方が多いと思います。
希少がんはありませんが、ほぼすべての癌腫を網羅しており、困ることはありませんでした。
指導の注意点がリスト化されているため、指導漏れを防ぐことができ安心感です。
副作用の確率や減量・休薬基準まで情報を網羅している。
最もこの本を購入する理由となったのは、減量・休薬の基準がまとめられているからです。
この基準はレジメンが日本で承認されるに至った臨床試験を参考にされているため、適切な薬物治療の管理に必要です。
主に検査結果や副作用を確認し、医師へ減量や休薬の提案を行うときに参考にします。
まれな副作用でも、臨床試験の際の副作用発現率を記載されており、副作用かどうかの判断に役立ちます。
「がん化学療法レジメンハンドブック」の悪かった点
基礎から学びたい人向けではない
おおまかな治療の流れを理解できている人向きの本です。
病態についての記載はあまりなく、治療アルゴリズムの記載→レジメン一覧→個々のレジメン解説、といったような流れで記載されています。
基礎から学びたい人はこの記事を読んでください
個々の副作用の介入方法の記載は乏しい。
副作用の確率は記載されているが、どのように対症療法を行っていくのかの記載はありません。
例えば、、、
手足症候群について、「症状の重症度が高ければ尿素クリームとステロイド軟膏を使用する。」と記載があるが、どのくらいの重症度で、どの強さのステロイド軟膏を使用するかは記載されていません。
副作用について学ぶのであれば、別の本「がん薬物療法副作用管理マニュアル」をおすすめいたします。
→外部リンク「がん薬物療法副作用管理マニュアル」
「レジメンハンドブック」おすすめできる人・できない人
「レジメンハンドブック」おすすめできる人
- レジメンについて(投与量・減量基準・開始基準)について確認しなければならない人
- レジメンの使用タイミング(術前・術後・再発難治性・1次治療・2次治療以降 など)を確認しなければならない人
- 各癌腫のレジメン内容について学びたい人
- 患者への指導事項のチェックリストが欲しい人
私は主に外来がん化学療法室で仕事をしていますが、癌に関する項目って確認事項が多く大変です。
この本は指導内容をだいたい網羅しているので、僕にとっては一番優先順位の高い本でした。
「レジメンハンドブック」をおすすめできない人
- 基礎の基礎の部分は載っていないため、病態について学びたい人
- 副作用に対し対症療法を提案したい人
レジメンについてはこの本でほぼすべて網羅できます。
ただし、「病態への理解を深める本」と「副作用をフォローするための本」を合わせて持っておくことが癌指導をする場合はベストであると思います。
私はいつも3冊持ち歩いていますが、この本は必需品です。毎年新しいものを買うことを推奨いたします。新しい治療法の提案や副作用指導を患者へ行う必要が、この仕事では最も重要です。
患者第一の治療を遂行することができるように努めるようにしましょう。
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